フクイヒロシ

ゴジラ-1.0のフクイヒロシのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

本当は諦めてはいけない。
この諦めは作り手の皆さんにも失礼なものだと思います。

だけど諦めているの…。
日本の大作映画の人間ドラマ部分を…。

どうせ臭くて長いんだろうと…。

最初から期待していなければ腹立たずに済むんだもん…。
今回も腹立たずに済んだんだもん…。

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さて今作は、ゴジラ生誕70周年記念作。
それはつまり敗戦79周年ということ。

なので今作の舞台が戦後だったことはとても誠実だと思いました。
1954年の第一作へのオマージュというか、リスペクトを感じられる箇所もいくつかあり好感が持てました。

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同監督の『アルキメデスの大戦』冒頭の戦艦大和撃沈の名シーン再び!
って感じで、駆逐艦VSゴジラのシーンは素晴らしかったです。

特に海神(ワダツミ)作戦の際に、
駆逐艦二隻がただすれ違うときにぶつかり合っちゃう!なんていう何にも関係のないスリルシーンが挿入されてたのとかめちゃよかったです。

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あとはゴジラの強さ、かっこよさ、可哀相さ。

ゴジラはやはり絶望しかないくらい強くあってほしい。
強かったですね、、今回のゴジラ。。

あのキノコ雲。。
敗戦直後に銀座を歩いてる人のほとんどは原爆のキノコ雲を見てはいなかったと思いますけどね。

原爆とゴジラを強烈に結びつける描写ですし、

〝強さ〟を突き詰めるとあのような悲劇に行き着くというメッセージも感じました。

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でもどうしてもそのカッコ良さには惹かれてしまう。。

そもそも敗戦から9年後の1954年に破壊神『ゴジラ』が誕生したのもそうだし
それが超大ヒットで観客に受け入れられたのも不思議。

どうして自分たちの生活をぶち壊してくるものに憧れやカッコ良さを感じてしまうんだろう。

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そして可哀相さ。
第一作からゴジラはとても可哀想だった。

海底洞窟に200万年も潜んでいたゴジラが度重なる水爆実験で安住の地を追われて地上に現れた途端、オキシジェンデストロイヤーされちゃうんだから。。

今回も深海に「あれー!」って感じで引き摺り下ろされて水圧でピキッッてやられたと思ったら
海面まで引っ張り上げられてボロボロになっちゃってもう可哀想だった。。

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あとは、特攻ですね。

『ワンダーウーマン』(2017)でも特攻はあったし
特攻を美談にして映画終わるのか…??と思ったけど

神木隆之介が突っ込む瞬間に気づきました。
脱出用パラシュートが装備されてるんだ!と。

で、実際脱出して命を大事にできたわけなんだけど
だとしたら事前の神木隆之介の狂い切った表情はちょっと辻褄合わないよね。。

死ぬ気になってる狂人のだったはずなのに、命が助かること知ってたのかぁと思うとちょっと興醒め。。
こういう作りが不誠実なんですよねぇ。。
感動のための〝騙し〟になっちゃってるので。。

あれは、青木崇高は内緒で脱出用パラシュートを設置してて
『ぶつかる直前で安全装置を解除するためにこのレバーをひけ』って
神木隆之介に説明しとくんだけど
それが実は脱出用パラシュートの発射レバーだった、と。

死ぬ気満々だった神木隆之介は青木崇高によって生かされてしまう。
いっそ死なせてくれーなんでなんだーと泣け叫びながらパラシュートで飛んで欲しかった。

死ねたら償いができると思ってたけど生かされてしまった。
そうか生き延びた人間は生きていかなきゃいけないのか、と複雑な気持ちでパラシュートでゆらゆら飛んでほしかったな。

結局準備段階で青木崇高に「生きろ」って言われただけで
「じゃぁ生きよう!」って思い直しただけになっちゃったでしょ。
それまでの葛藤が何だったの?ていう。。

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ゴジラはめちゃくちゃかっこよかったし、
第一作目のオマージュも良かったし、
ゴジラとは何なのか、なぜ破壊神ゴジラに惹かれるのかを答えを明示するわけでもなく描いていたことにシビれました。

が、人間ドラマ部分がね。。
雨に降られてずぶ濡れになって「ずぶ濡れだー!」ってわざわざセリフで言うとかね。。

あとエキストラの演技とかね。。

遺体見つかってないのに浜辺美波の葬式やるのは早すぎない??って思ったよね。。