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ゴジラ-1.0のNowLoadingのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.0
 本日の一本。

 西武園ゆうえんちにあるアトラクション、「ゴジラ・ザ・ライド」をご存知だろうか。あのアトラクションは傍目からすると悪ふざけしているように見えるかもしれない。なんだよ特別車とかいうオープンカーに乗せられて東京(所沢)の街を脱出するとかそらをとぶとかさ。それに何故山崎貴がアトラクション作ってんねんと。そう思ってはいた。ところが乗ってみるとどうか。

 何処よりも美麗なCGでゴジラやキングギドラが大暴れする映像を間近に見せ、とにかくあの足ブラブラするライドが予測不能なモーションで激しく動き回り、体験する、いやさせるという形で最後まで驚愕させてくれるのだ。西武園ゆうえんちにはあれしかないが、あれだけはディズニーやユニバに負けない最高のライドアトラクションである。機会があれば是非。

 ということで、やっとこさマイナスワンの話題。「ユア・ストーリー」の話ばかりが話題となるが、先述のライドに乗った者からすればあの山崎貴がゴジラをやってくれるのか!?とワクワクして待ちわびた一作である。結論から言えば、「ゴジラ・ザ・ライド」を映画として再構築したような一作で大変興味深かった。

 勿論ライド版のゴジラとマイナスワンのゴジラは別物だが、特に銀座のシーンやただ出したかっただけであろう震電のゴジラとのバトルシーンなんかはほぼライドからの流用(セルフオマージュ)なのではないかと思わせるような演出が見られた。おおっこのシーン既視感あるなとなんだか答え合わせのような感覚に浸らしてもらえる。

 山崎貴監督作品はたしかにストーリーテリングの側面からすればイマイチなところもある。それは否定出来ない。だがしかし昭和を緻密に再現し、スクリーンに映し出す技術力に置いて彼の右に立つ者など存在しない。それは「ALWAYS」とか「永遠の0」とか「アルキメデスの大戦」で培った経験に基づく。ずっとやってるからこその再現力の高さに裏打ちされている。

 オリジナルの1954ゴジラにはどうやってもかないっこない。かといってオンリーワンの「シン・ゴジラ」にもなれない。ならばそれより前の話として作っちゃえってのも今ならではの回答としてアリだ。大体初っ端から簡単にやられるかと思いきやからの反転術式するわ領域展開するわ昔なら出来ないCGを得意とする白組のテクニックを存分に見れたのが嬉しい。

 敗戦国日本のいまあるカードでやるしかねぇんだよ!という気概も楽しく見れた。アメリカも日本政府も使えねえ、俺等だけでやるしかねえわという気持ちいい位のざっくり感。でもこういうの良いよね。底力を感じます。ここもシン・ゴジラの対比(俺たちの考える最高の国家)になっている感じ。

 最後に、噛ませ犬の重巡高雄(それでもデンドロビウム並の零距離射撃は痺れる)はちょっぴり悲しみがあるが、その分駆逐艦隊のワダツミ作戦がビリビリくるぞ!雪風と響がゴジラに真っ向から立ち向かうその姿に提督の私は目が熱くなるぞ!しぐゆき?なんですかそれ。時代はひびゆきだ!それいけ!頑張れ!やっつけろ!と大興奮であった。

 アトラクションの側面が高い本作だが、ストーリーも山崎貴作品の中では上々で、生きろとの呪言に囚われメソメソしていたシンジ君こと神木隆之介が、シン・エヴァシンジ君のような覚悟完了するところもグッド。見所沢山。是非温かい目で見守ってほしい。(ゴジラ東京上陸の際のあのチャイム、ずるいよね。昭和も平成も関係なくあっやべってなるもんね)
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