t0mori

ゴジラ-1.0のt0moriのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
2.8
想像通り、ドラマパートの脚本、演出はまるでダメ。CG特撮は見せ方含めて素晴らしい、いつもの山崎貴監督作品。

アイディアとプロットは悪くないのに、どうしてこうも登場人物の気持ちが右往左往して、絡み合うことなく迷走する珍品になってしまうのか。
こうなることは分かっている筈なのに、なぜ、ドラマパートに別な監督を立てないのか、プロデューサーの判断には首を傾げるばかり。(それでも客が入るからなのは自明だけど)恐らく、とてもいい人なんだと思う。山崎貴監督。クライアントやプロデューサーの提案をほいほい引き受けて、とにかく分かりやすくをモットーに。

戦時当時の言葉遣いにしていないのは意図的だろうけど、それ以前に、そもそもあちこち日本語があやしい。特に前半の安藤サクラによるある一言は、誰でも気付く言葉の間違いなのに、なぜ誰も突っ込まなかったんだろう?
無理に説明台詞をドラマに盛り込もうとして、まったくうまく行ってないし、それならもう、『シン・ゴジラ』みたいに、説明は堂々と説明にしてしまえば良かったのに。
いちいち感情移入を遮る、必要以上にウェットな演出と台詞、そこに行き切らずに説明を絡めてくるのとかも辟易としたし、あんな台詞を言わされている実力派俳優たちが、哀れで仕方がなかった。

海中を進むゴジラは、何かちょっと可愛かった。

プロットは悪くないとは書いたけれど、一度銀座に来ておいて、また海に戻って海上作戦でやられるゴジラは、振り返るとかなりアホっぽい。従来的なドラマの定石だと、本土決戦がクライマックスで、中盤の失敗する抑止攻撃が海上作戦だろうから、その定番を覆したかったんだろうけど、その為に不自然な所が多く、失敗してる。作戦そのものが面白いので、あれはあれで楽しめはするけど。

クライマックスの神木くんの生還にまつわる伏線のあれこれ、何で振り返るかな、とトドメのうんざり。青木崇高とのシーンは台詞にしないといけなかったのか? 言わんでもわかるやろ、と。やらない方が遥かに心に響いたと思うけど。あのくらいやらないと観客に伝わらないと考えているなら悲しい話だし、だとするなら同時に、その様な観客を生み出して増やしているのも、こういった作品だという事を自覚して欲しい。

ラストのあれは浜辺美波が人造人間で不死身だった的な……?いや、次回、ゴジラ人間として暴れ回るとかか? 後者だったら面白い。まさか被爆の表現とか言わないよな? だとしたら結構な偏見だけど。
t0mori

t0mori