もはや言わずと知れた名作の様相を呈している『ゴジラ-1.0』。
配信で観ましたが、これは映画館で観るべき映画でした。
戦うことから逃げ続けて未だに戦争の幻影から逃げられない臆病な主人公が、ゴジラに立ち向かうことで自分の戦争を終わらせようとする作品。
『ゴジラ-1.0』は、怪獣映画ではなく人間ドラマを軸に描いた戦争映画。
芝居や人物描写がクサいという意見があるようだが、これは明らかに意図されたもので、ゴジラ映画が子供からお年寄りまで分かりやすく楽しめる国民的映画であることを重視した結果である。
個人的にはクサいというより、キャラ設定や芝居がアニメっぽい印象を受け、セリフで分かりやすく説明するシーンや、主人公は主人公らしく、親方は親方らしく、小僧は小僧らしく、学者は学者らしくある分かりやすいキャラ設定など、『ゴジラ-1.0』は全年代が映画を楽しめる作りになっている。
さらに、人間ドラマと怪獣モノが、これ以上ないほど融合し、質の高いドラマへと昇華されており素晴らしかった。
特攻という作戦や戦争そのものを否定して描いている作品。
戦いや死ぬことから逃げた後悔に苛まれる主人公が、最後はゴジラに立ち向かい戦うが、死ぬことを否定し生きることに拘ることで、特攻や戦争に対するアンチテーゼとなっている。
映画のコピーは「生きて抗え」であり、戦うことは必要だが必ず生きろという強烈なメッセージ性のある作品でもある。
CGやVFXも素晴らしく、ゴジラを目の前にした恐怖感や無力感まで伝わってくる。
観ている側まで、「これ最後どうやって倒せるの?」と首を捻ってしまうほど。
ゴジラを倒す方法はシンプルだが、科学的に正しいかは分からない。
ゴジラ映画の一つの金字塔となる作品であることに文句はなく、非常に面白いエンターテイメント映画だった。