このレビューはネタバレを含みます
【時代の風】
設定が戦中戦後となっており、帝国海軍の軍艦や戦闘機も多数登場するので、個人的には胸が熱くなる作品である。
SFものではあるが、随所に時代背景や人々の生き様、そして葛藤が散りばめられている。
例えば主人公は特攻帰還兵としての葛藤を抱えているが、ストーリーそのものが、彼の戦争を如何にして終わらせるのか、という問いと並行しているかのようであった。
皆それぞれ、自分の中の戦争を清算して、新たな時代を生きていく、そんな時代の風を感じることができる作品でもある。
そういった意味で、帝国海軍の生き残りの駆逐艦や、実戦には間に合わなかった局地戦闘機震電が帝国軍人の生き残りと共にゴジラと相対するという設定は、大変示唆に富んでいると感じた。
結末には希望と絶望が入り混じっているが、例えフィクションとはいえ、飛行し、敵を撃破する震電を見ることができたというだけでも、感無量である。
また、神木隆之介がキリッとした相貌で、とても役に合っていたように思うし、吉岡秀隆も、相変わらずいい味を出しているなぁと、思った次第です。