ユーライ

怪物のユーライのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
3.0
どこか落ち着かないザワザワとした感触で掴みはバッチリだが、問題の少年二人にカメラが寄ると途端に凡庸になる。作中の言葉を借りればこんな「しょうもない」タネ、そこまで大事に隠し持っておく程でもない。カンヌを受賞したので知るところとなった本作が取り扱う同性愛(的関係性)は、ズバリ「尊い」だ。大人は皆嘘つきでろくでもないです。子供も同じです。でも同性同士の二人が育んだ幼い愛だけはピュアで汚れのない真実なのです。教師や毒親やいじめに追い詰められて痛みを抱えたままのちっぽけな逃避行どや泣けるやろ。そして二人は誰も知らない世界で戯れ続けてチャンチャンってアホかボケか死ね死ね死んでしまえ。全っ然、なってない。カビの生えた時代錯誤極まるプロットだと言わざるを得ぬ。こんなもん美少年の禁じられた愛でヌいてスッキリするだけのポルノなんだ。ファーストショットがショタの生足なのもそういうことなんでしょう。もちろん、作り手がお題目として掲げた現代社会への疑念に嘘があると言うつもりはない。最近流行りの、周囲から無自覚に押し付けられる「男らしさ」の抑圧とかやりたいんだろ。大したもんですよ。ここに自分のことが描かれていると涙する人もいるかも知れない。その感動を否定するつもりは無い。でもそれとは別に、この映画は異性愛者が同性愛を都合よく扱ったポルノだということをハッキリさせておかなくてはならない。カンヌの審査員がこれのどこをどう評価したのか知らんけど、コレエダじゃなくてもそこら辺の一次創作やってる腐女子先生に取材すれば、似たようなやつをなんぼでも話してくれますわ。コミケとか行けばウジャジャいますよ。高尚なお芸術面したいなら、顔がいい美少年をキャスティングするんじゃなくて『かがみの孤城』の嬉野君を連れて来いと。ぽっちゃりでウザくて性欲旺盛な嫌われ者のBLをこそ正面切って描けと。イケメンならああ可哀想で同情出来るけど、不細工ならとっとと去ねってなもんだ。そもそもこれがミステリでございとばかりに時系列を前後させて、隠していた部分をポンポンポンポン後出ししていく構成が「上手い」とは到底思えないんだよな。いやらしい脚本だとは思ったけど。坂元裕二、敵ですね。
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