近藤りょうや

怪物の近藤りょうやのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

怪物は誰とかじゃなく、「集団心理」なんじゃないかな、と。


現に、この僕なりの答えを書くことにすら不安があり、周りの目を気にしている自分を自覚しました。

LGBTを取り扱う映画は、そういうジャンルとして切り取られがちだけど、僕は今回、この映画の予告で流れてくる「怪物だーれだ」に乗っ取って、怪物が誰なのか、またはなんなのかを純粋に問いながら映画を観ていました。


その結果、怪物は誰でもない。というか、その人によって変わる、という結論に至り、それでははっきり定義できない、として、「集団心理が怪物なのである」という定義に着地をしました。


だからこそ、LGBTをギミックとして使っているとは微塵にも思わなかったし、ラストはとてつもなく綺麗で美しかったと自信を持って言えます。


集団心理があるから、マイノリティ、マジョリティという言葉が生まれ、どうしてもマイノリティとされた側の人々は、マジョリティ側から被害を受けている、という視点になる。(もちろん実際に傷つけられてる人もいるだろうし、自分もいじめや嫌がらせを受けたことがある側の人間だから、絶対に許してはならないと思います)


そうすると結局は、自分の思うがままに生きやすくするために、自分がどう振る舞うか、これを追求することが大事なのかなと思ってしまうし
同時に、それって結局人に合わせて生きていることにもなるから、思うがままに生きていることになるのか、自信もなくなってくる。


考えることが出来る人間である以上、生きていくって難しいんだな。と納得せざるを得ない映画でした。
かといって、生きていくのが難しい、を言い訳にして色々諦めるのは個人的には嫌いなんですけどね。


それにしてもラストは美しかった。
湊くんと依里くんの関係は本当に美しかった。