はる

怪物のはるのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

カンヌで賞を獲ったとき「LGBTQに特化した作品ではない」というコメントが出て、批判が飛び交っていた。映画を見ていない段階では何とも、と思っていたが、映画を見て批判が正しいと思った。湊と依里が味わう苦痛は、彼らがヘテロであれば味わうことのなかったものが混じっている。それを無視して「誰もが持つ葛藤ですよ」は不誠実すぎる。

ラストについてもいただけない。私はあのラストを、「二人は死んだ」と解釈した。そういう解釈が十分できるシークエンスだったと思っている。もし仮に、あの二人が生きていて、明るい未来に進むことができたのだとするならば、それこそ心象風景などと言わず、ぼやかさずにはっきりと描いてほしかった。他のことについては、はっきりと描いているのだから。
「可哀そうな同性愛者」を描くことの罪については結構いろんなところで議論されているイメージがあるので、これが二十年前の映画だと言われたら「まあそんなもんか」と思えたかもしれないが、今、リアルタイムに出てきた映画だというから「時代遅れですね」と言われてもしょうがないと思ったし、作り手がこういうメッセージを発信する(そういう意図ではなかったのだとするならば、もっと伝わるようにはっきりさせてもよかったと思う。この件に関しては)ことの責任について、少し考えておくべきなんじゃないかと思った。

最悪の田中裕子が見れてそこは最高だった。写真の位置気にするくだりで思わず笑ってしまった。
あとは「誰にでも手に入るものが幸せ」というセリフはよかった。

【追記】
「2人が死んじゃったようには見せたくない」……そうなの?死んじゃったようにしか見えなかったよ……。
https://news.mynavi.jp/article/20230610-kaibutsu2/
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