このレビューはネタバレを含みます
何っにも見えてなかったんだなって、それぞれの立場の大人もそうだし、自分にもがっかりした。
はじめは、大事な一人息子湊が担任にいじめを受けていると知り学校に乗り込む、愛情深い母親の視点。
不誠実な学校の対応と、生気が感じられず、馬鹿にしたような態度の担任に、こちらも怒りを通り越してあきれる。こんな学校や先生いるか？でも実際あるんだろうな…と完全に親側の気持ち。
また、湊の不可解な行動にも疑問。担任に傷付けられたことによるものなのか？やはり担任許せない。
次は担任の先生から見た視点。湊を殴ったというのは誤解で、暴れてたのを止めたときに手が当たっただけだった。いじめなどしていなかった…。連日乗り込んでくる母親。怪物とはモンスターペアレントのことだったのか？湊が嘘をついてた…？湊は星川くんをいじめてた？怪物とは、担任を貶めたサイコパスの子どものこと？？また、学校を守るためという名目で、事務的に事を進める校長や周りの教師も怖い。
最後は湊視点。
周囲に女っぽいといじめられる星川くん。
自分もいじめられるのを怖れて表では仲良くできないけど、星川くんと友情を深めていく湊。山の中の秘密基地で遊ぶ2人の姿は、なんかすごいかけがえ無く感じて、涙が出た。坂本龍一さんの素敵な音楽も、涙に拍車をかける。やがてそれが、お互いに友達以上の感情を抱いてることに気付く湊。自分が普通じゃないと悩み、その思いを隠すため学校で星川くんとケンカに。色々なことが全て担任の先生によるいじめ疑惑に繋がっていったのか…。
なんか、みんな善意から行動してたから何とも言えない…。
でも、人はどうしても、それぞれの立場で
、自分の見たものからしか物事を判断しないし、その裏にどんな予想外の事があったかなんて考えないんだな、と改めて感じた。
あと、子どもは、本当のことを全部親に言ってるとは限らない。自分もそうだったのに、なぜか自分が大人になったらそれを忘れてしまう。
本当に難しいことだけど、自分が見たものだけじゃなくて、見えてないところで何が起きてるかまで想像できる人間になりたいと思った。
