このレビューはネタバレを含みます
怪物とは何か?人間それぞれに持っている偏見や決めつけ、誤解、差別などの感情が絡み合って生まれた大きな負の存在…誰もが怪物の被害者となり、また自分自身も怪物になり得る。
本作は湊の母親の視点と担任教師の視点、湊の視点と3視点で描かれ、3章仕立てで構成されて話が展開されていく。
誰の視点かによって全く印象が変わり、話が全然違ってくるのがとても興味深く、それぞれの怪物は誰なのか?何なのか?いろいろと考えさせられた。
そして問題のラストシーンで湊と依里の2人は生きてるのか?亡くなっているのか?って話になるんだけど…
生まれ変わるとか出発するといった言葉や鉄橋前の鉄柵が最後はなかった(鉄橋先=あの世)目覚めたら光に満ちた天国のような快晴など死を連想する伏線が多く、自分としては旅立ってしまったと感じた1人。
でも最後『生まれ変わったのかな?』『元のままだよ』というやり取りが台詞であったと思うんだよなぁ…ややこしい。
もし生まれ変わったのが湊と依里じゃなく“怪物がいるこの世界”そのものだとしたら、これから2人は怪物(LGBTによる苦悩)から解放され、新しい世界で生きていくってことで希望に満ちたハッピーエンドなんだろうけど…
母親と担任が探しに行った時は2人の姿はなかったし、だとすると“怪物がいた元の世界”にはもう彼らはいないってことで、やっぱ悪い方に考えが行ってしまう…。
ん〜何かどんどん分からなくなってきた…(-_-;)
これは1回観ただけじゃ細かい部分がまだ回収し切れない、今後また何度か観てみたいと思う。
観る側の判断に委ねる久しぶりに考察しがいがある素晴らしい作品だった。