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怪物のchitchipapaのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
2.9
ひとたびカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞してしまうと次作でそれを越えなければというプレッシャーを感じるものなのでしょうね。是枝監督は益々“カンヌにウケる映画作り”に邁進しているようです。
社会的弱者、マイノリティ、落ちこぼれ、イジメ、脱落者、組織防衛と自己保身等々、世に蔓延る不条理と理不尽なモノに光を当てる事が彼のライフワークになっているようです。でもその路線にこちらは至って食傷気味です。
この作品について言えば、「片方聞いて沙汰するな」「物事には表と裏がある」とか、大人が計り知れない子供の世界観であるとか色々なメッセージが読み取れますが、映像作品としてはある場面を異なる立場(大人側と子供側)から再現するという手法で謎解きをしていきます。でも同じ場面と言いながら明らかに俳優の演技は一回目と二回目に演出の違いがあって、観客を欺いている(印象操作している)のは明らかです。
また、気になったのは二人の少年の家庭環境が共に片親である点です。この設定は“普通でない家族関係”という決め付けに思えてしまいます。
更に加えると校長先生が孫を轢いたという脚本。これって何の意味があるのか?「大人も嘘をつく」って言いたいのか?教職員が校長に同情する理由付けにしたかったのか?全く意味不明、支離滅裂の脚本としか思えません。
少年二人の演技が素晴らしかったので、尚更残念な点が多い是枝映画でした。
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