横溝正史の焼き直しのようなプロットは敢えてなんだろうけど、であればそこに現代性やこのシリーズならではの特徴を添える必要があったのではないか。むしろこの作品てまは現代という設定が足を引っ張っているようにしか見えなかった。
日本の閉じた共同体に内在していた闇ーそれは福田村事件のような実際に起こった事件にもリアルに現れたーを横溝正史は物語にしたのだが、その闇を感じることはこの作品ではできなかった。それは当然で、何故ならすでに崩壊している共同体を描くことは現代という設定ではできないからだ。そこに鬼というある種の闇を持ち込んだところで、そこに恐怖は感じられない。代々伝わる慣習を守ろということも、現代的な設定でおいては空虚に見える。