最初の左右にパンしながらバンド(?)のやり取りを捉えるの、カメラが意識されすぎてちょっといやらしさを感じたけど、最後にカメラが左にパンしていって、帰ってったカップルを追ってるのかと思いきや、更に左に行ってベンチで仰向けになって手をグーパーしてる人を捉えようとしたのかと思いきや、更に左に行ってタイトルバック、とここまでやればドヤ顔も愛おしい。
街を主人公にした群像劇。子供達が引っ掛けたシャトルを取ってやろうと木に登ったが、「もういいです」と言われひとり木の上に取り残される兵藤公美。ゆっくり降りようとしているところを画面右からフレームインしてきた大場みなみがボケっと見つめて、物語が大場みなみの視点に切り替わる。
だから、大場みなみにみかんをあげた団地のお婆の家の中にカメラが置かれた時、なるほど今度はこのお婆の視点に切り替わるんだな、と思いきや、カメラはお婆を追わず半開きの窓、揺れるカーテンを映して終わり。この揺れるカーテンが怖いのよ。婆ア死ぬのかと思ったわ。『わたしたちの家』の穴のような、ふたつの世界が接続されるような感触がある。本作ではそれがひとつの家に住む別次元の人々ではなく、ひとつの街に住む、過去〜現在の人々なんだけれど。
土鈴を鳴らして、それに合わせて女子二人でパンパン太ももを叩くのすごい好き。と思いきやクライマックスは女子ふたりのダンスからのイチャイチャ多幸感。
大場みなみがさっき買ったコップを手にとって物思いに耽るカットも良いね。カレが家に来ると思ってカレ用のコップ買ったんだね。それで言うと兵藤公美の和菓子。叶わなかった未来。
っていうか、ピンクの包の和菓子勧められて、「でも、白い方にしよ」って言ったとき、「そういうとこだぞ」と思うと同時に「「じゃあピンクと白にしよ」と簡単に言える財力も今はないのかな〜」と勝手に悲しい気持ちになった。