クレしん映画最高傑作のひとつ(最近のは全然観てないけど)。
とにかく怖い。まずアバンタイトルの戦闘シーン。このシーン自体のエゴイスティックなまでの扇動力も凄いのだが、オカマ魔女の攻撃により王子が黒い鞭のようなものに縛られ、飲み込まれていき画面が真っ黒になるラストがめちゃめちゃ怖い。ここでブラックアウトは怖いと印象付けることで、幼稚園の遠足でヘンダーランドに行く前日にしんのすけが眠りにつくブラックアウト(フェードアウト)にも言いようのない不安にさせられる。そしてパッとカットが変わると、しんのすけが幼稚園バスに乗り込むなんてことはない日常が描かれるのだが、その背景が朝焼けというにはこれまた違和感アリアリのどぎつい色味で、これまた不安になる。追い打ちをかけるような異様な仰角のカット。
恐怖が臨界点に達するのは、なんといってもひろしとみさえが人形になった風呂のシーン。日常が完全に異世界に侵食されてしまったということ。このシーンは子供の頃観たときしっかりトラウマになった。
クレしんならではのユーモアに溢れる極上の活劇も光ってる。笑いの間というか、緩急の付け方が上手いのよね。それが映画として、ちゃんとスラップスティックなアクションとして成立してる凄み。
あんな大真面目にババ抜きやったかと思いきやジョーカーとの会話でアニメーションの自由さを謳歌して、そんで誰にも真似できないスーパーアクションに雪崩込むんだからやんなっちゃう。
それと、今回再見して思ったのは、しんのすけが一人でヘンダーランドに乗り込む道中の電車でずっと正座してるのが、敵地に赴く武士みたいでカッコよかった。