ワンコ

みなに幸あれのワンコのネタバレレビュー・内容・結末

みなに幸あれ(2023年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

【陰謀論的ステレオタイプ】

※ 古川琴音さんがトークイベントに来なかった腹いせではありません😛

社会科学では、社会や社会システムの構造的な問題を明らかにするために、モデルと称して事柄を単純化して説明しようとすることがある。

ただ、それは根本的な問題点を解決すべく提起されたもので、この映画の「幸福は不幸の上に成り立っている」はかなりいただけないと感じる。ホラー映画の古典とも言うべき「エクソシスト」には時代背景や社会の変化に伴う孤独とか宗教とか散りばめられて秀逸な構成だったと思うのだが、なんで、日本のホラーはこうなるのかと考えてしまう。

それに、日本とアフリカを引用して社会科学的ぶっているような気もするが、どちらかと云うと陰謀論的ステレオタイプだ。

幸福なサイドの家族が、まったく幸福そうに見えないことや、教養も知性も欠如しているように見えるところが皮肉交じりで面白いのかもしれないなんて途中考えたが、日本とアフリカの話が引用されたところで、やっぱりダメだと思ってしまった。

日本とアフリカの関係で幸不幸を説明するのは無理がある。
せめて欧州とアフリカだろうとか、結局は、思い付きの範囲から出れていないことが分かる。
こうしたレトリック一つとっても、繊細さは必要なのだと感じる。

ちょっとだけ言わせてもらうと、アフリカも経済発展にはいろんな段階がある。エネルギーも含めて地下資源が乏しくても農業国として成功しているところもあれば、地下資源が豊富でも一部の部族に富が集中して、部族対立や宗教対立の要因になったり、それを煽るようにロシアのような専制主義国家が介在して問題を複雑にしていることもあれば、過度な温暖化の影響で極端な乾燥化が進み、人が住めない可能性が高まっている国もある。

気候について言えば、日本とアフリカの関係は成立するなんて考え方も出てきそうだが、どう考えてもやっぱり屁理屈の範疇だ。

発展途上国の宗教は怖いみたいなホラーを面白がる(=怖がる)ホラー好きのステレオタイプ加減もひどいと思ったとこがあったが、こういう陰謀論的ステレオタイプも、常々思うことだが、問題は大きい。

古川琴音さんの登壇を期待して、トークイベント付の上映を観たけれども、淡い期待も外れるは、映画も好みに合わないわで、加えて、とある登壇者の方が、A24の映画が理想みたいに言っているのを聞いて、フラストレーションの延長線上で、ほど遠いよと思ってしまった。
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