ユーライ

最後まで行くのユーライのレビュー・感想・評価

最後まで行く(2023年製作の映画)
4.8
終盤、いよいよタイマン前に訪れる柄本明宅の武器がいっぱい隠し部屋を見て「おいおい『いつかギラギラする日』か」と思っていたら、エンドロールを眺める脳内ではショーケンの「ラストダンスは私に」が流れていた。つまり良い映画。キネ旬の特集では「日本映画はやれば出来る子!」的に紹介されていたが、お前それ何十年前から言ってるんだと。90年代に機運を高めた奥山和由プロデュース作の一つとして『いつかギラギラする日』は製作されたが、評論家界隈の深作健在に喜ぶ声と香港ノワールに目が肥えた観客らの乖離があったと予想する。やれば出来る子とは言いながら、結局出来たためしがない。『仁義なき戦い』とか知らねぇよ時代はジョン・ウーだぜという意見の方が至極真っ当だ。でも及ばないなら及ばないなりにカッコつける態度が尊いと思う。韓国映画のパチモン(リメイクです)、上等!てか岡田クンもいいけど綾野剛が相変わらず最高。何回目かの死んでないフリで後ろの席から「怖っ!」という悲鳴が聴こえてきたけど、あったりまえだろ剛はいつだってヤバくてクールでイケてるんだよ。一見誠実、その実暴力男を演出に応じたやり過ぎ芝居で殴る蹴るやっていて実に眼福だった。『ヴィレッジ』では三振空振りカマしていた社会派監督として一流の批評精神も、裏で糸引く悪い悪い悪い柄本明を通じてエンタメの中で上手く消化出来てる。多分真面目にやらない方がいい。現時点でベスト。口惜しいのは、全編ニヤニヤ充実した気持ちだったのに、クレジットの中に見つけた「藤島ジュリーK」。あーもう許せねぇいい加減にしてくれ。
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