小僧

神が描くは曲線での小僧のレビュー・感想・評価

神が描くは曲線で(2022年製作の映画)
3.8
オリオルパウロがまた傑作を世に生み出してしまった…精神病院で起きた殺人事件を調べようとパラノイアを装って潜入捜査する女性探偵の話。
事件が起きた夜の回想シーンを挟み込みながら主人公が証拠を掴みつつ真相に迫る流れですが、面白いのは主人公の正体すらも惑わせてくる演出。
間違いなく事件を調べに来た探偵のはずなのに何かおかしい。何よりも主人公が聡明で魅惑的な容姿な上にパラノイアという、この設定が語り手の真偽に効いていてとても上手い。更に協力的な医師や患者の存在、彼女への信頼、行動によって、見る側にすら彼女が正しいと思わせて院長に疑いを向かわせる手法…果たして主人公が間違っているのか、やはり病院が何かを隠しているのか…ここの攻め方がまじでゾックゾク。

物語が思わぬ方向に向かい、事件の夜の真相やら回想シーンの謎が解けていく時系列の見せ方も斜め上をいくので気が抜けないし、最後の最後は思わず「え…?」と声が出てしまう衝撃を喰らいました。「患者は常に答えを用意します。嘘であれ必ず答えます。〜彼女は愚直な人間や経験不足の精神科医を簡単に惑わせます」この序盤の言葉とラストの主人公の表情を照らし合わせてみましょう…ゾワりますね…
一体誰が騙されていたのか?私も騙されていたのか?余韻の残し方も絶妙な良作品でした。いやあこういうの本当好きすぎて観た人と語りたい。イグナシオ良い奴だった会を開きたい。

設定的にはシャッターアイランドに近いかなという感じですがまた違う角度で攻めているなという印象。シャッターアイランド好きならきっと好きな作品だと思う。
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