ゆき

せかいのおきくのゆきのレビュー・感想・評価

せかいのおきく(2023年製作の映画)
3.8
くそみそ

笑うところだぞ?と小粋な会話や表情でツボをくすぐってくる90分。
序章から始まり、3人の若者を軸にした江戸の日常を切り取る。どんなものも最後まで使い尽くすのが暮らしの術である。
汚穢屋(おわいや)と呼ばれる下肥買いを生業とする最下層の身分である若い男性2人と、人生の最期を意識する男性たちのかけ合いの哀愁が好みだった。
モノクロと瞬間的なカラーのカットで各章にメリハリあり、リズミカルな一作。
言葉を生業とするおきくが声を失う。それでも変わらず、日々に一喜一憂する様が愛おしかった。身分という隔てと恋路の行方の歯痒さ。
3年越しに完成されたとのこと、舞台挨拶でお話し聞けて良かったです。filmarksさんありがとうございました!
「せかい」とはあっちからきてこっちから戻ってくるもの。
×××
江戸末期の東京の片隅。武家育ち、22歳のおきく。父と2人暮らしの彼女は雨宿りしながら、汚穢屋の矢亮と中次と言葉を交わす。貧しいながらも彼女たちは日々の営みを繰り返す。果てないせかいで。
ゆき

ゆき