まさ

せかいのおきくのまさのレビュー・感想・評価

せかいのおきく(2023年製作の映画)
3.6
江戸時代末期を舞台に、肥溜め売りの青年二人と、武家の娘のおきくが織り成す青春恋愛物語。舞台は昔であるが、言葉遣いは今っぽく、古めかしさは感じない。貧しい生活の中でも、したたかに明るく生きる青年の姿、そして不幸な出来事から、声を失っても希望を持って生きるおきくの姿に勇気と力強さを感じる。終始これでもかと出てくる排泄物の描写からは、世の中は循環で成り立っていること、そしてそこには人の力が関わっていることを改めて感じる。モノクロの映像で展開しつつ、各章の終わりにカラー映像が鮮やかに映し出されるバランスがよく、効果的。役者はいずれも素晴らしく、脇では石橋蓮司の渋さがたまらないし、そして黒木華の凛とした和服姿と熱演ぶりは最高だ。シン仮面ライダーにも出ていた池松壮亮は演技の幅広さを感じるし、佐藤浩市親子の共演もよかった。静かで深い味わいのある作品。
まさ

まさ