気になってたのに見逃すところだった。
モノクロ作品なのは、扱っている題材のせいか。確かにカラーでは見たくない。モノクロでもニオイを感じてしまう。
モノクロにする意図、カラーにする意図を考えてしまう。
江戸の末期。日本が変わろうとしている少し前。まだ庶民には「せかい」がわかっていない時代。
貧しい末端の生活をしている矢亮(池松壮亮)と矢亮を兄ィと慕う中次(寛一郎)。ふたりが厠の前で雨宿りをしているところに、おきく(黒木華)がやってくる。3人のいわゆる青春物語。
世間しか知らない狭い生活。
長屋暮らしのおきくだったが、父の源兵衛は以前は武士だった。安政の時代。理由は明確にされないが、源兵衛は殺されてしまう。源兵衛は「世界」を知っているようだった。映画はなんとなく安政の大獄を臭わす。
恋するおきくがかわいくて、ひとり悶えている。
せかいよりも今は中次。「ちゅうじ」の筆で書いてみたりするのもかわいい。
映画を見る直前まで、「せかいのきおく」だと思っていた。