順慶

真夜中の虹の順慶のレビュー・感想・評価

真夜中の虹(1988年製作の映画)
3.8
「労働者三部作」と言われる二作目。

炭鉱が閉山になり、仕事を失ったカスリネン。自殺した父のキャディラックに乗って南へ。
このキャディラックの幌が壊れていた(と思っていた)から、冷たい風を浴びながら走る。これはコメディだな。

銀行で全額をおろしたが、簡単に盗まれてしまう。日雇い労働で、教会宿舎で寝泊まり。
でも、車はキャディラック。子持ちの女性もすぐに恋に落ちる。このあたりがハードボイルド。古いラジオた流れる曲もいい。

鼻先に銃を突きつけられて目覚める。彼女の息子が「コーヒー」と言って起こしてくれる。この子、ずっと本を読んでいる。

で、あることから刑務所へ。どんどん不幸になっていくカスリネン。間(ま)がよくて、なかなか笑える。刑務所の同室のミッコネンとのやりとりもおかしい。差入れのケーキの切り方もおかしい。
こういうオフビートな笑いが好きなので、かなりハマった。

で、家族になるという早い展開。短い作品で、ストーリーを進めるのに無駄なシーンはあまりない。寝室の部屋の窓へカメラがパンするのも意味があった。

原題の「アリエル」は、貨物船の名前。エンディングの曲「虹の彼方に」が、邦題由来だのだろうか。夜に旅立ったあの家族は、虹を見ていたのだろうか。行き先はメキシコ。
順慶

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