EugeneHashimoto

南太平洋のEugeneHashimotoのネタバレレビュー・内容・結末

南太平洋(1958年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

バリ・ハイ島の人々が全員笑顔で歓迎してくれて、祭に乱入しても殺されないというのは、ベトナム戦争を知ったあとではとてもじゃないけど思いつくこともできなかったんじゃないかと思う。日本人の自分が言うのも何だけれどもなまじっか戦争に勝ったばっかりに自分のお国が世界に愛されていると信じて疑っていないあの天真爛漫な画面がかなり恥ずかしく見えた。

かと思えばケーブル青年はなんとも不思議な存在で、メリーと目の合った瞬間から呪われているというか、なんかいろいろどうでもよくなっている感じが出ている。丘の上のおっさんと看護師の色恋噺を省いてケーブルの物語だけ見るとわりとマジカルな雰囲気がある。外見にしても、全然軍人っぽくない線の細いかんじで、24年組のマンガに出てきそうなザ・美青年という趣きがあり、作品中このキャラクターだけファンタジックなムードみたいなものをえらい強く発しているように見える。ウソっぽさの度が過ぎていて、そこになんか制作サイドの腹の一物が透いて見えそうな気がする。
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