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ストリングス 〜愛と絆の旅路〜のtheocatsのレビュー・感想・評価

4.0
ネタバレ
手作り人形と情景による厚み奥行き生命感

元はデンマーク映画。庵野監督以下日本人スタッフ脚色演出・俳優吹き替えによるジャパンヴァージョンの感想。オリジナル英語版をもし見たなら追記。

ストーリーは西洋古典劇によくありそうなラブロマンスを絡めた陰謀謀略逆転劇(造詣の深い人ならベースはすぐ分かるかもしれない)。
物語演出的に深く心を動かされるとかまではいかなかったが、手作り操り人形とCGではない手作りセットによる厚み・奥行き・生命感に目を瞠らされた。
生命感はグロテスクさと紙一重とも言えるが、操り師の手による糸の動きで確かに命が吹き込まれていた。
人形達の造形・動きにより個人的にスターウォーズのクローン軍隊やグリーヴァス将軍を連想してしまったが、同じ西洋もののせいか世界観も相通ずるものが感じられた。白人と森に住まう有色人種の争いという点からはアヴァターも思い出された。

ダークな演出ゆえ子供が見て楽しめるかは微妙だが、CGによらない本物の手作り感は有益な視覚体験となろう。大人でも何か製造体験やクリエイト経験があれば大変な仕事がなされていると実感できるはず。

本来であれば視覚的に目障りになるであろう多数の操り糸を、人形にとっての実際の生命線とする演出はナイスアイデア! 子供の誕生も予めかたどられた赤ちゃん人形に天から生命の糸が下りてきて、それを一本一本繋ぐことで生命が吹き込まれるというのもうまいと感心。人間ならへその緒を切るのと全く逆になるわけだ。
俳優の吹き替えもなかなか見事でした。なんか劇団一人っぽいけどまさかな・・と思ってたが、視聴後確認してやっぱりひとりだったので少し笑ってしまった。

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