リアム

658km、陽子の旅のリアムのレビュー・感想・評価

658km、陽子の旅(2023年製作の映画)
3.9
東京で暮らすコミュ障でフリーター42歳の陽子。20年以上会っていない父の死の知らせを受け青森へと向かう事に…。

目指すは我が青森県弘前市✨弘前に来て3度目の冬を過ごす今日この頃ですが、やはり自分の住む街が扱われるのは嬉しいものです。

夢破れ、帰るに帰れない日々を過ごすうちに、取り返すにはあまりにもしんどい時間が過ぎてしまった陽子。いつしか人とまともに話すことも出来なくなっていた。自分もコミュニケーション能力が高い方では無いから、陽子は極端ではあるけど受け入れられる。何故かヒッチハイクをする羽目になるけど、受け入れてくれる人もいれば拒絶する人もいる。色々ボロボロになりながらも先を目指すしかなく、人の醜さと温かさをコミュ障だからこそ痛いほど彼女の心に突き刺さり、そして閉ざされたその心からの涙が溢れ出す。弘前の雪の中を歩く彼女の姿に目頭が熱くなります。

一晩の話なので多少心の変化が早すぎる気もしますが、彼女にとってこの一晩はとてつもない出来事でした。演じるのは菊地凛子さん。驚きました。こんなにも引き込まれる演技は久しぶりでした。この内容をここまで魅せるのは彼女あってこそです。彼女のキャラクターは観る側の性格によって賛否分かれるところですが、是非観る価値のある作品だと思います。
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