Emma

しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜のEmmaのネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

天カス学園から毎年観ているクレしん映画。
今年はクレしん映画史上初の3DCGだった。最初はあまり受け入れられなかったけれど、観ているうちにしんちゃんのぷにぷに加減が可愛くてむしろ好きになってきた。

今年のテーマは超能力だった。宇宙から2つの光が接近し、白い光がしんちゃん&ひまわりに、黒い光が充くん(30)に命中して超能力を使えるようになるところから物語が始まる。黒い光は強大な力を持ち、平和を乱すとされていて、実際に充くんの暴走は痛々しかった。元々充くんは家族や学校、職場の人間関係が上手くいっておらず、大切な人もいない、所謂「無敵の人」という印象だった。今作でも現代社会の風刺的内容に切り込んだのは面白かった。

今年のクレしん映画は途中でグダった感覚がある。例年よりも勢い任せ感が強く、ストーリーも雑だった。鑑賞後はその違和感を言語化出来なかったけど、時間が経って理由がわかった。

まず、ヒロシ(35)が充(30)に対して「君はまだ若いから頑張れ」と言うのが年齢差が狭すぎて違和感を持ったのだと思う。何ならみさえは29歳で充の方が年上なのも腑に落ちなかったのかもしれない。充くんが高校生くらいだったらストーリーがもう少しスっと入ってきたのかもしれない。
次に、定職があり家族に恵まれ自分の家を持っている一般的に幸せな人生を送っているヒロシが、複雑な幼少期や学生時代を送った充に「頑張れ」と言った点だ。そこまで年齢差がない幸せな人の「頑張れ」は辛い思いの方が多かった人生を歩んだ人には少々酷にも感じる。きっと充なりに頑張った結果暴走した部分もあるのだろうし、そこを認めた上での救いがあったらもっとスッキリしたのかもしれない。…とは言えど、いくら辛い思いをしてきたとしても、結局のところ自分の足で生きていかないといけないわけで、ヒロシの「頑張れ」はそういう意味も含まれていたのかなとも思った。
また、途中で「この国に未来は無い」と言うシーンが多く、今の日本に置きかえて何となく暗い気持ちになった。加えて、充くん(30)を救うためにいじめっ子に暴力で立ち向かうしんちゃん(5)を観るのは正直胸が痛かった。極めつけはしんちゃんがピュア、かつ不安そうな眼差しでヒロシに「オラ達お先真っ暗なの?」と言ったシーンは、5歳児に何を背負わせているんだと辛くなった。

ただクライマックスでヒロシが「この国の未来は確かに明るくないかもしれないけど、誰かを幸せにしようとすれば、結果的に自分も幸せになれるから頑張れ」みたいなことを言ったとき、少し救われた気がした。生きていれば辛いこともあるけれど、それでも生きていかなきゃいけないし、仕方ないから明日からもまた頑張るかと少し元気が出た気がする(それまでの過程が鬱展開だったからかもしれないが)。

今年のクレしん映画は色んな意味で心が痛くなるシーンが多かった。そしてクライマックスにもう少し救いの言葉が欲しかった感はある。

来年のクレしん映画は恐竜がテーマとのことなので、今から楽しみです🦖
Emma

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