このレビューはネタバレを含みます
25-24-7
ミッキーの精神力は偉大
どん底からの逆襲が始まる!
というフレーズや予告編からイメージしていた、痛快な逆襲劇という感じではなかったですが、貧富の格差、権力からの抑圧というテーマはとてもポンジュノ的です。
風刺に富んでいて笑えるシーンもありつつ、骨太なストーリーで明確なメッセージ性もある、まさに安心と信頼のポンジュノ作品!
というような出来栄えなのですが、やや食い足りない気がしてしまうのは、どうしても「パラサイト」級の作品を期待してしまうからでしょうか。
まず、主人公であるミッキーに、同情はできるのですが感情移入がイマイチできませんでした。これは設定の問題というよりもキャラクターとしての魅力の問題だと思います。パラサイトのあのチャーミングな家族に感じる愛おしさをミッキーには抱けませんでした(それにより、なぜミッキーがこんなにナーシャたちから愛されるのかという点もひっかかってしまいました)。
もう一つ言うと、マーシャルは悪役としてとてもキャラ立ちしていて良かったと思うのですが、ほぼ自滅と言ってもいいような展開なので、あまり爽快感がなかったです。
たまたまマーシャルがのこのこ前線に出てきて、ミッキー18が自らを犠牲にマーシャルを殺してくれて、同時にたまたまマーシャルたちの悪事が露見したからミッキーは助かったわけですが、言ってしまえばミッキー自身は特に何もしていないわけです。
ドラえもんでいうのび太君的な立ち位置と言ってもいいかもしれませんが、映画の中で成長が見えないので、イマイチ乗り切れませんでした(一つ目の点と同じ話になってしまいましたね)。
マーシャルは原作にもいるキャラですが、多少キャラクターに手を入れているようです。某国の大統領に見えて仕方なかったです(ポンジュノ曰く、実際には韓国の政治家を参考にしているそうです)。
しかしミッキーの扱いは本当にひどいですね…
マーシャルもですが、科学者集団の行う人体実験が酷すぎて…
あれを16回もされたら発狂してしまうのでは…