あまりに不遜な感想なのかもしれないが、自分が思っていた以上に、その何倍も宮崎駿は天才だったんだなという感想。そしてアニメーションよりもあくまで物語が好きな自分には初見で刺さるものでは全くなかったなと正直に書いておきたい。
かっぴーさん
XX某の大島さん
私はこーへさん
あたりの感想に目を通して、自力よりも少し解像度を上げさせてもらった上でのつらつらとした感想。（というかネタバレ忌避の風潮に加えて、難解？だからか、ここ最近の大作映画としては驚くほどTwitter等でのデカい顔した意見が少ないと感じた）
一番大きな感想
宮崎駿の、もしかすると子供時代からの、頭の中を見せられた印象で、こんなに極彩色なあれこれが頭の中に渦巻いているのかとびっくりした。ただ今まで世間に向けてこれでもかというほど分かりやすく刺さる形でまとめてきた人・チームでも、あまりに私小説的な、自意識的なものが入ると、完全な観客のためのエンタメにはもっていけないのかと勝手に少し落ち込んだりもした。あと自分は、最後に青鷺に「忘れちゃうかも」みたいなのを言われてやっとその辺に頭が繋がっていったんだけど、観ている人の半分が自伝的なことだと伝わっていればいいくらいの状況なんだろうか。
マイナスよりの感想（プラスの意見も後ろにメモる）
・物語を描いて欲しい
主人公の行動指針とか、行動原理とかが分かりやすくは描かれず、母的な存在として叔母をあそこまでして助けにいくのはうまく共感しきれない部分がかなりあった。
・ハウルが苦手だったことを思い出した
・お母さんの声優をやっている人が、演技としては流石に厳しいものがあると感じて苦しかった。あいみょんさんらしい…。菅田将暉はすごすぎ
・青鷺はポスター通りかっこよくあって欲しかった。鈴木Pに擬えるという点ではああなってもしかたない可能性もあるが。流石にかわいいとも言えんだろうがよ
・stranger things的な裏側世界に行った後が退屈すぎて（メタファーの符号を考えるのが分からなすぎてしんどくて）主人公がヒミ？と出会って星降る夜を見上げるあたりから、インコ小屋で食われそうになるまで10分くらいと思うけど寝てしまった。
・インコ軍団然りどのモチーフが何を表そうとしているのかが分からなすぎる。ジブリに対する理解がなさすぎる。ただ各作品に出てきたっぽい要素は自分でも十分に楽しめた。
・「ジブリに憧れすぎたアニメーション以上にうまいやつが、千と千尋の神隠しとハウルと風たちぬを足して割ったような映画観させられて最悪だ」と途中まで本気で思ってた。視聴直後もわりかしネガティブな気持ちのほうが強かったが、最後現実世界に戻ってくるあたりからはいい気持ちだったかも。宮崎駿が好き勝手やっちゃったから、もうこれ宣伝しなくていいだろとなったのかなんて考えてたけど、部分的には外れていないとも思う。
プラス
・アニメーションがすごい
冒頭の火事の映像にかけられた労力を考えるととんでもないものだと感じた。他にもジブリってこんなに人間の体の動きを忠実に描こうとするんだったかと驚いた。幅の大きい石段の登り方とか。
そして描き方で一番気になったのは、写実的とでも言えそうな描写は、それこそポニョとかを考えるとジブリのイメージの対極にも近いものだったら青鷺の描写をはじめとして動物だったり自然だったりへの姿勢に感服した。
・キャラの目が好き
・主人公の声が低くて、キャラにとても合っていると思う
・米津玄師の地球儀、よすぎ
歌詞を聞いていくと、なんとなく映画全体が腹落ちしていく感じがした。というか理解遅くて最終盤まで物語の受け止め方が分からないまま見てた。
映像もすごい。２、３月の晴れた空でしか見れない青さをスクリーンでも表現されていることに感動した。
その他
・「君たちはどう生きるか」は「おれはこう生きた」の裏返しなんだと帰り道で思い至ったら、ネットでも誰かが同じようなことを書いていた。最近ネットで見た宮崎駿の「人生の目的は幸せじゃない。何を残せるか。」みたいな話とも符号しそう。これでもかというくらい過去作の表彰めいたものが出てくるのは、こういうことなんだと受け取った。
かっぴーさん？のこれからのアニメ業界の人に向けて、みたいな解釈が面白かった。確かに正直、一般の人にとって想起される「生きる」とは違う視点で描かれている気がする。
マンガ本にある臭い感じがしないのはすごい嬉しかった。
・ママ大好きなのはそうだよなと思ったけど、世間的にはどういう受け止められ方をするのかが気になる。マジでここに書くことではないが、step momという意味では中学生的なことばかり考えてた、この年になってもおれは…
・マンガとの似てるとこだと、傷を自分でやったと認めるところとかなんだろうか。
・一番よく分かってないのが、世界の主みたいなのと話し合った直後に突然場面展開してインコにまた食われそうになってるシーンになった時があったと思うんだけど、本当にあれはどういうことだったんだろう？気絶している間に観た幻想？寝てしまった部分もありあそこは円盤でたら見直したい（当分先か…）
抜けもありつつ色々書いたけど期待値を超えたかと言われると決して超えたとは言えず、今の気持ちとしては風たちぬをしっかり見返したいなという気持ち。
