四畳半ガールのび太

菊次郎の夏の四畳半ガールのび太のレビュー・感想・評価

菊次郎の夏(1999年製作の映画)
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想像していたよりも祖父が映っていた。これからもこれを観るときっとおれは祖父のことを思い出すんだろう。都会育ちのおれからしてみれば一見やばいんじゃないかと思うようなスタイルのコミュニケーションを取っている人間が他にいてびっくりした。でもおれの方を向くといつも笑ってくれていたような記憶しかない。そこはちょっと違うな、断然いい。

ヒッチハイクをしてカップルと遊んでいるところではたと気づく。子供と大人の構図ではなくて、菊次郎も子供であり、子供と子供が共に旅をしているのだと。
何を言いたいのか、みたいなのは読み取れなかった。同じように母がいない環境だと、社会的にはこんなヤバい大人になっちまうけど、それでも子供心を失わないこんな大人だぜ、みたいな?メッセージがなさそうなところが説教くさくなくていい。
成長譚なのか?と言われると難しい。母にまつわるこんな経験をしてそりゃ成長ではないわけではないんだけど。解釈によっては北斗七星を見つけるところとかも成長と言えるけれど。そんな分かりやすいものじゃないはずなんだよな。最中は気づかなくても、時間が経って、振り返るとあの経験って自分の中でこんな大きいものだったのか、という。誰にだってそういうことが一つや二つあるはずなんだ。おれにとってはそれが川での浮き輪のことだったりする。
エンタメ物語としてはそういう意味ですごいいい作品ではないと思う。スタンドバイミーの方が分かりやすい成長だよねという。特に後半おやじたちと遊ぶ前に終わったって話としては成立する気もするし。ただそういう話ではなく、こんな時間があってもいいなっていう。

ギャグセンはすごかった。色んなところでめっちゃ笑っちゃった。ビートたけしって笑いたくなるカリスマ性があってかっこいい。

子役の子めちゃくちゃ良かった。この作品の世界で、じゃあどんなおとなになっていくのかっていうのが分からない。

当然音楽は素晴らしすぎました。
こんないい曲と映像のマッチないな。本当に。