たくおぶ

君たちはどう生きるかのたくおぶのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます



宮崎駿がいつの日か見た夢



自分の思いや考えをどうにか表現してみんなに伝えてみたいと誰もが一回は思ったことがあるだろう。歌にするのか、小説にするのか絵にするのか…色々方法はあると思う。だけどそれは思うだけで実際に行動するのはかなり難しく自分の頭の中だけで終わらせてる人がほとんど。82歳のおじいさんが自分の思考や主張をあの熱量で、アニメ映画を通して伝えてくれてる、見せつけてくれた、その時点で内容云々の前に「君たちはどう生きるか」と投げかけてきていると思った。


生まれて初めてかも知れない。まっっったく内容を知らずに観た映画は。Twitterでもなんでも「ジブリ」「新作」「宮崎駿」…諸々オールミュートして公開の次の日に鑑賞した。
超絶ファンタジーなのかそれとも時代ものなのか…考えるだけでわくわくした。どっちのジブリも大好きだから。事前情報一切なしの戦略って本当にジブリが大好きな人か、映画が好きな人こそ引っかかる手法だと思うんよな。そーゆー人たちこそ公開してすぐに駆け込んでると思う。そうしてどんどん情報が広がっていって反響が生まれていく気がする。

正直な感想を述べると現時点では普通だったかなと思う。とても面白いわけでもつまらなかったわけでもない。
よく作画とか制作過程のこと込みでレビューする人もいるけどそんなん言ったらみんな5.0に決まってるよ。あんな手書き作画だれもできやしない。気の遠くなるような作業内容や関わっているスタッフのことを考え始めたらキリがないし。内容だけを考えると普通だったと言いたい。

事前情報一切なしの戦略も確実に影響していると思う。やっぱり久しぶりのジブリ新作、タイトルの意味、内容を勝手に想像しては楽しんでたのもあり勝手にハードルが上がっていたのも正直ある。「君たちはどう生きるか」このタイトルにどんな意味が込められていて、宮崎駿はどんな風刺をしてくれておれたちに伝えてくれるんだろうとかなり期待した。なんならどんな方法で説教をしてくれるんだろうと。


正直導入と中盤は長いな、、と思ってしまった。全体的にゆっったりと物語がすすんでいって、最終的に伝えたいことが最後にポンッと出てきた印象。
タイトルの熱い投げかけに対して緩やかに進んでいくキャップに少しやられた感はある。


もうすでにいろんなレビューや考察が出てるなかでまったく読んでいないけど、昨日観終わったあとにひとつ思ったことがある。
映画監督でも歌手でも小説家でも漫画家でも、最初に言ったような「自分の思いを作品で伝える」人たちには「信者」ができる。良くも悪くもそれは作品の評価に対してブレが出てくる。「この作者のことだからあれはこんなことを暗示していて〜…」「あのシーンはきっとこーゆー意思表示で〜…」。。考察するとこはすごくいいことだし考察しがいのある映画はその時点で結局いい映画なんだと思う。でもあんまり行きすぎるのもどうかなとも思う。結局作者の伝えたいことって意外とたった1つの小さなことだったりするんじゃないかな。それを50とか100として過大に捉える人が多すぎる。伝えたいことの本質を見抜かなければならないのもファンの役目だ。チェンソーマンの作者藤本タツキ先生が短編で出した「フツーに聞いてくれ」をみんな読むべし。行き過ぎた考察へのアンチテーゼ漫画だぜ。


冒頭で描いた通り、総評としては宮崎駿が見た夢を見せてくれてるんかな〜と思ってた。
そして宮崎駿作品はこれで最後なんだろうなあ〜とも思った。「おれが作り上げるのはこれで最後やから!!!まあこれを受け継ぐのは無理やろうし荷が重いやろうからそれぞれの大切にしていることは何か、常に気にしながら生きてくれよな!!したら少しは世界もよくなるやろ?綺麗事だけじゃねえこの世界を君たちはどう生きるか楽しみにしてるぜ!!」

と言われた気がした。
それでもまだ、元気で次作を描いて欲しいと願う、わがままなファンです。
たくおぶ

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