このレビューはネタバレを含みます
宮崎駿の集大成という感じ。
自らが広げた世界を畳ませる為にどうしても公開しなければならなかった作品のようにも思える。
『千と千尋の神隠し』『もののけ姫』『となりのトトロ』『天空の城ラピュタ』『風の谷のナウシカ』など過去の作品を連想する描写が多いのだが、作品全体に死の色が漂っている。"亡者と胎児"や"現実世界と死の国"の対比はその色を濃くする。都度映される特徴的な樹はベックリンの『死の島』のオマージュだろう(この絵画好き)。
まるで監督が「私はこう生きた。君たちはどう生きるか」と言っているよう。
しかし暗い物語ではない。
エンドロール直前、ある世界は崩れ去るが、現実世界はとても華やかな色でスクリーンがいっぱいになり、未来への希望も感じさせる。
現実では不味く、あちらの世界では美味しくても、希望があるのは現実世界なのだ。
僕たちもこの現実世界を生きよう。
いつの間にか友達になった人たちと共に。