君たちはどう生きるかのみーのネタバレレビュー・内容・結末

宮崎駿の卒業制作という印象。

ヒミとの逃亡は不思議の国のアリスっぽいし、江戸川乱歩の幽霊塔、回廊のキリコ感、マグリットっぽい浮かぶ石と、宮崎駿の影響を受けたものを詰め込みつつ、今までのジブリ映画で作ってきたものの中からお気に入りの演出をもってきたという感じ。

作るのに何年もかけただけあって、常に動くリッチな画面には惚れ惚れする。特に冒頭の火事のシーン。うねうした動きとスピード感に、眞人の恐怖と焦りが見えて素晴らしかった。あとインコたちはみんな細かく動いてて段々可愛く思えてきた。倒れた時に兵隊誘導してるやつと、子ども連れて逃げる親子がお気に入り。

ストーリーは...。もっと分かりやすく作って欲しかったなぁ。冒頭の不気味感から、異世界のワクワク感、世界の存亡が少年の手に、といい感じの素材が揃ってるのに...。少年が自分の力で選択することが大事と気づくまでの物語...でいいんだよね？ちょっと最後まで、なぜ彼が自分で傷をつけたのかよく分からなかった。

【追記】
ジブリだから大衆映画のイメージで見ていたけど、実はカテゴリとしてはアートアニメーションなのでは？と思った。ストーリーではなく、アニメーション的表現の素晴らしさを目指したのでは。火事シーンはフレデリックバック、海のシーンはカレル・ゼマン、インコの王様はイシュ・パテルっぽさを感じた気がする。