鑑賞後にずどんとした重みを感じる映画というものがある、しばらく放心状態になってしまうような。感動したとか、泣けたとか、感じたことを簡単には言語化できないけど、制作側の本気の豪速球を喰らったことだけはわかる。そんな映画がたまにあって、それは名作と語り継がれているような作品が多い(私にとってそんな映画の代表格は戦場のメリークリスマス)。本作もそんな映画だった。
鑑賞後、長距離走をしたあとのような疲労感があって、しばらく映画館のソファで休んだ。さらには家に帰ってから5時間くらい泥のように昼寝をした。一緒に見た彼氏も全く同じ時間昼寝したので、私にだけ起こる現象ではないっぽい。映像を観るってだけでここまで人の体力を削り取る宮崎駿はんぱねえ〜と話した。
内容については頭で理解しようしようと思って「これは何を意味してるんだろう」と解釈を考え続けちゃったのがミスで、もっと心で感じるように見るべきだったなと反省。頭だけで考えたらわからないことばかりだった。塔の世界はあらゆる時間が同時存在している=老子で言う道(タオ)を表しているのかな?なんて考えながら見てしまった頭でっかちの自分殴りたい。そのせいで疲れ果てたのかもしれない。
でもとにかく映像と音楽の美しさ、冒頭の火事のなかを駆ける描写のゆらめき、が心に残ったかな。
戦メリも、あとからじわじわと自分の中で不動の名作の地位を築いていったので、この作品も、ゆっくり時間をかけて噛み砕いて、自分のものにしていけたらいいなと思う。
2023/027