Fuyuki

君たちはどう生きるかのFuyukiのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

何の事前情報も無しに鑑賞。
レビューを書くまで1週間寝かして記載。

「風立ちぬ」が駿氏の遺作とならずに安堵しているのが個人的な本音。
あの独善的な視野で終わってしまっては、駿氏も作品を見てきた人も報われない。

「風立ちぬ」から今作までの数年の間に何があったのかわからないが、視野角が広くなった作品に個人的には感じた。
作画は駿氏が担当していないので割愛。また今作は見る人により自由な解釈ができる作品の為、以下は個人的な見解。
以下、今作の駿氏の主要課題を感想として記載。

課題:母への想い(マザコン)
母との確執がある事は色々なコンテンツから伺い知っていたが、今作のヒミ(良き時代の母の象徴)と出会い、助け、助けられの冒険をし、クライマックスでの永遠の別れ。別れ際のヒミの「だってあなたを産めるんだもの」というセリフで駿氏自身も存在を全肯定され母への想いを浄化して終わる。

課題:今までの作品との決別
精魂込めて制作した作品を懐疑的(有害なもの)として描いている。
大叔父がいた世界は今までの作品の象徴。その世界を守る大叔父は今までの駿氏、眞人はこれからの駿氏、と置き換えるとこの作品が整理される。
自分が制作した作品がはたして次世代の子どもたちに良い影響を与えてきたのか?
異世界は眞人が受け継ぐ事を拒み崩れて消える。その様は駿氏が自問自答し断腸の思いで決断したと解釈。
代表として例えると自然とリアルに触れ合う大切さを子どもたちに説いた「トトロ」を制作したら、子供たちが外で遊ばずに家の中でトトロをみている現実。
異世界=駿氏が制作してきたエンタメの世界
その異世界が消え、現実の世界に戻る眞人は、駿氏の覚悟と次世代へのバトンの様に感じられた。

課題:反戦主義だが戦闘機好き
戦時中にも関わらず軍事産業を生業とする御曹司の眞人。
その身の上に甘んじて、裕福な暮らしをしている自分。
眞人が自分の頭を大きな石で思いっきり殴るシーンが象徴的に描かれているが、それは駿氏自身の懺悔と矛盾の呵責。
その解は無いが、汚れている自分をそのまま表現する事で、自分も清廉潔白な人では無い事を懺悔していろように感じられた。

上記以外にも様々なメタファーがあり、色々なメッセージやエッセンスがあると思う。
インコの王様は鈴木敏夫に見えたり、7人の老婆は白雪姫の7人の小人だったりと色々な解釈がてきる。

また今までの緻密な作品と異なり、矛盾や唐突さを感じる作りは、ジブリ作品ではあるけれど、どこか違う作品の様。


今作は自分の解釈に浸るも良し、みんなで語り会うも良しの作品だと思う。
Fuyuki

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