SANUKIAQUA

君たちはどう生きるかのSANUKIAQUAのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
5.0
動いてこそアニメーションだよ
というくらいによく動く。
しゃんと背筋を伸ばして歩く
そっと歩く、人により、年齢により
立場や状況により動きは変わる。
その描写が物凄かった。
それは人だけでなく、草も雲も
全て動いている。
だから止まっているもの、
止まっている人は
生きていると言えるんだろうかと感じた。

事前の宣伝を全くしない、
評判ではわかりにくいと聞いていたけど
ものすごくシンプルで分かりやすいと
僕は思うけどな。

千尋は幻の世界で幻の人との間で
成長したけれど
今回はそうではなく
実在し関係ある人々と接することで
成長し消化できたのは
非常に良かったと思う。

宮崎駿さんのアニメで好きなのは
実感のある非現実性だと思っていて
冒頭から人が行う自然な行動を
丁寧に描いていて
それがあるから異世界のあれこれに
肌感覚がついてくる。
ルパンやコナン、パズーが
超人的な身体能力で解決したことを
今回はそんなものはないと
描いたのは良かったな。
その上で想像性豊かな映像世界を
楽しませてもらいました。

父と息子の関係、
母と息子、義母と息子、
色々な思いが交錯しているし
それらをそれぞれ消化していく
その様を思わせるのはうまいと思う。

主人公には戦後難しい未来が待っているはず
でも彼は渦巻く人の思惑の中で
しっかりと自分の生き方を
つくっていくだろう。
自分が生きている時代で
精一杯自分ができることをしなさいと
背中を押している作品だと思う。

様々な西洋絵画や文明、
日本の文化などをかき混ぜたような
美術などが面白くて
見直す時はそういったところも
より楽しみたいと思います。

あーインコ怖!
SANUKIAQUA

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