しぇりー

君たちはどう生きるかのしぇりーのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

タイトルはあくまで原作から借りてきただけだったと鑑賞直前まで知らず笑

パフレットを読んで、この話が監督の「自伝的」という要素にびっくりし、どのあたりだろう?と考えながら鑑賞した。

作品に対する個人的な印象としては、少年の冒険的映画のように思えた。眞人はあちらの世界では、勇気と信念を持ってひたすらに前に進んでいるように見えた。でも、それ以前の彼を考えると、母を亡くし父が伯母であるその妹と再婚し、知らない土地に来て、様々な葛藤を抱え、自分の居場所や自分がそこにいる意義などを探す旅のようにも見えた。彼がひたすらに勇敢に前へ進んでいるように見えたのは、孤独ゆえに自暴自棄になっているからこそ怖さをあまり意識せずに行動できているのかな、などと考えた。継母の夏子とはどう接していいのかわからず、夏子の愛情を受け入れられないものの確かに感じてはいて、そんな夏子を自分だけが助けられるかもしれない状況。夏子を連れて帰るという信念をずっと曲げずに貫けたのは、実母譲りの優しさと勇敢さなのかな…?と思いたい(実際、夏子のことをあちらの世界で説明する際には伯母でも継母でもなく「父の好きな人」と表現しているのが引っかかり、源氏物語の光源氏と藤壺を連想してしまったが、これを深く考えると思考が泥沼化しそうなので一旦置いておきます笑)。

眞人は守られた世界、自分の手で思うように創造できる世界ではなく、何が起こるかわからない悪意に満ちた元いた世界へ戻ることを選ぶ。良いことばかりではないどころか、どうしてこの世界は…と時に絶望することもたくさんあるこの世界だけれど、そこに光がないわけじゃない。その光を夢見てもいいんだ、とエンディングの「地球儀」を聴きながら思った。人は基本的には死に方は選べないことがほとんどだからこそ、「どう生きるか」生き方は自分で選べる、ということを改めて思い出した。

そして監督の「自伝的」な要素はどこか、と考えた時、監督はいつだってジブリという世界の創造主であり積み木を積み上げる立場にあるというところにこの物語との共通点を感じた。でも積み木は「墓」だから…うーん、一度観ただけでこの物語を読解するのは確かに難しい笑
けれど、私はずっとわくわくして最後まで見応えがある映画だったことは間違いない。(お家の間取りや家具、建築物に特化した冊子が1冊欲しいほどステキな世界観でした)