Nozomi

君たちはどう生きるかのNozomiのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

少年は大人に対して非常に「よい子」であるが、内面では母を亡くした喪失感、継母への戸惑いといった葛藤を抱えている児童である。表情は乏しく、真面目であるが、他児童との諍いをきっかけに感情を抱え切れなくなったのか石で頭を自傷し、一大事に。

そんな少年が疎開先で出会う不思議な仲間たち、世界の物語。ここらへんは千と千尋を彷彿とさせる。乱れ咲く花々、トンネルを抜けた先は現実世界ではないのは宮崎駿監督作品の定番。火を扱うシーンはハウルを彷彿とさせ、主人公に動物たちが群がるシーン、森に住まう謎の生命体はもののけ姫を彷彿とさせ、やたらと大きい深海魚はナウシカを彷彿とさせる。

ファンタジーのような、地獄のような世界で、懐深い仲間たちと協働することで強くなり、広い視野を持つようになる少年。自傷した傷もどんどん小さくなる。

とにかく宮崎ワールドてんこ盛りだけど、この映画が伝えたいのは大叔父の言葉。「争いのない世界をこれから作っていってくれ」ということのように感じた。

宮崎駿監督が映画を作るのはこれが最後だろうか。若い世代に遺された壮大なメッセージのように感じて、カオスな世界観ながらも感動して泣いた。
Nozomi

Nozomi