宇尾地米人

地獄のコマンドの宇尾地米人のレビュー・感想・評価

地獄のコマンド(1985年製作の映画)
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 『地獄の復讐』『テキサスSWAT』『地獄のヒーロー』と次々に痛快旋風を巻き起こしてきたチャック・ノリスが、これまで以上に製作費をかけ、弟アーロンの原案を自ら脚本化してスケールアップを計り、対テロ・アクションの決定版に臨みました。戦争犯罪やテロルの脅威を感じとったノリス兄弟は映画でアメリカを励まそうとするわけですね。無慈悲な武装集団を、元CIAのおじさんが独り鎮圧していく。あまりにもワンマンアーミーっぷりが凄いから、次いでアメリカ軍が戦車隊を駆り出してきた。テロリストとアメリカ軍の全面対決。天才テロリストだろうが何だろうが撃って投げて爆ぜ飛ばす。その容赦のなさにアメリカは熱狂したわけですね。いよいよチャック・ノリスがアメリカンヒーローの最高潮というか、神罰の化現みたいに溜飲を下げ回っていきますね。

 ジョセフ・ジトー監督は『地獄のヒーロー』を成功させチャック・ノリスをアクションスタァに打ち出した映画監督のひとりで、『ローズマリー』や『13日の金曜日/完結編』などB級映画監督として見られていますが、ニューヨーク市立大学で経済学や心理学を修めている立派な人ですね。『レッド・スコルピオン』ではドルフ・ラングレンの魅力を炸裂させました。監督としては数こそ多くないものの、ポストプロダクションの編集ドクターとして、娯楽作に劇場公開用として映像編集を施すスタッフとして活躍されたようです。

 第二班監督はニュート・アーノルドが務めていますが、この人は2000年に78歳で亡くなるまで長きに渡って助監督を務めてきた映画人で、サム・ペキンパーの助監督にあたったほか、『ゴッドファーザー PARTⅡ』『タワーリング・インフェルノ』『ブレードランナー』にも携わっている凄い人です。これほどの人が『ブラッドスポーツ』を監督してジャン=クロード・ヴァン・ダムの初主演を開花させているんだから面白いもんですね。
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