木蘭

プチ・ニコラ パリがくれた幸せの木蘭のレビュー・感想・評価

3.7
 フランスを代表する児童文学『プチ・ニコラ』のいくつかのエピソードを交えながら、作者2人の半生を描いたアニメーション。
 絵本がそのまま動き出したという雰囲気で、キャラクターの動きも魅力的だし、シンプルな線と水彩画をイメージした色彩や演出が美しい。特に描き出されるパリの町並みが素晴らしくて。

 本の中の物語と、作者2人の世界とを行ったり来たりする小さなニコラがとにかく可愛い。
 子供達の描写も魅力的で、腕白な男の子達の世界にクスクス笑ってしまう。
 原作は1950年代から’60年代というフランスの戦後高度成長期、5月革命以前の"古き良き世界"を舞台にした・・・いうなればフランス版『三丁目の夕日』。
 そこで描かれる無邪気な子供達の物語は、作者2人の不幸だった子供時代の裏返しであり、ある種の願望。
 時代背景といい、家族構成といい、主人公の男の子といい・・・幸せな『大人は判ってくれない』だね(学校をサボるエピソードのチョイスなど、制作者たちも意識して演出しているとの事)。

 原作者のゴシニの娘が脚本に参加し、作画者のサンペが協力し、そして制作者達の原作とゴシニ&サンペへの愛が詰まった作品なのが、スクリーンからひしひしと伝わってきて胸が熱くなったよ。
 まぁ、原作は読んだ事は無いんだけどね。
木蘭

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