あーさん

シネマ歌舞伎 唐茄子屋 不思議国之若旦那のあーさんのレビュー・感想・評価

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シネマ歌舞伎2023(2月まで2023年度) 第10弾

これは面白かった〜
新春に相応しく笑ってスッキリ✨するヤツ!

宮藤官九郎×中村勘九郎 なので思い切りぶっ飛んでいて、これが歌舞伎なの?と眉をしかめる御仁もいらっしゃるかと思われるが、逆に敷居が低くて歌舞伎初心者🔰でも大丈夫だと思う!

下ネタが多いと書いていらっしゃる方をチラホラお見受けしたけれど(私も少々下品過ぎないか⁈と思わないでもなかった…)、実は元ネタがあって、古典落語の"唐茄子屋政談"をベースに、"大工調べ"、"鈴ふり"、"十八檀林"等、五代目古今亭志ん生が得意とするレパートリーの要素が取り込まれているのだとか。(パンフレットより)
そこに、不思議の国のアリスのエッセンスなんかも乗っけてしまうのだから、訳がわからない笑
ドタバタコメディが過ぎるのであった。。

それはさておき。
キャストがまたすんばらしくて!
芸達者、揃ってまっせ〜
トップバッターの荒川良々。滑舌の良さ、人の良い八百屋の親父感、ハンパない!これが中村勘九郎も認めた才能か〜
いやいや、歌舞伎のお芝居の冒頭からあの一人語りはものすごい度胸だなぁ。。

放蕩若旦那 徳三郎(中村勘九郎)の"あざーっす"が、予告で観た時はちょっとイラッとしたのだけど笑、お芝居で観るとちゃんとハマっていて、小&超ミニ若旦那(勘太郎・長三郎)の同じセリフなんて可愛いのなんの!

唐茄子っていうから何かと思いきや、かぼちゃなのね🎃

カエルのゲコミとゲゲコ🐸とか(もうホンマ亀蔵さんと扇雀さんに何やらせるの…)、第二形態に変身する花魁(中村七之助)とか、伸びる?眠善治郎(中村虎之介)とか、、クドカンならではのヘンテコキャラが炸裂!
鶴松さんも鈴ふりやってたし。。良々のあめんぼ??笑
個人的には、普段はんなりした女形のイメージしかない坂東新悟さんのクズあほぼんが最高やった!!(彌十郎さんと親子共演♪)
そして、皆すごいんだけどMVPはやっぱり大工の熊役の中村獅童かなぁ〜
あの立板に水の江戸っ子ぶりは、素晴らしかった!

これは元気のない時に観たら、絶対笑ってしまうこと間違いなし。

まだ1月いっぱいやってるから、もう一回観に行こかな。。

そして、いつか平成中村座で歌舞伎を観るぞ!と固く心に誓った♪








**小さなつぶやき

元旦の地震にもびっくりしたけれど、三が日を自宅で過ごした後4日の早朝に飛び込んできた義父が息をしていないという知らせの電話。
6日から帰省するはずだったので、何がどうなったのか受け止めきれず、、
しばらく呆然としてしまった。。

思えば、着物や茶道、歌舞伎など自分には縁遠いものと思っていたものが、義父のお陰ですっかり好きになって、子育ても落ち着いた今ようやくそんな趣味のお話ができると思っていたのに…去年のお正月、私が"お父さんが観られた歌舞伎の筋書きが見たい"とお願いしたら、たくさん出して来てくれて"なんぼでも持っていき"と言ってくれたのが、夫の実家でちゃんと交わした言葉の最後となってしまった。

ふつつか過ぎて、まだ何もお返しできていない。
85歳までずっと働いて来たお父さん。93歳は大往生や、と夫は言ったけれど、趣味の茶道を嗜まれている姿がもう見られないと思うと、やっぱり淋しい。

美意識が高く綺麗なものを愛でるのがお好きで、ご自身もとてもお洒落な方だった。
あまり他のことはお話されなかったけれど、茶道や歌舞伎のことになると饒舌になられていたな。。

父も亡くして、義父も亡くしたから、もう私にはお父さんと呼べる人がいなくなってしまった。悲しい。

でも、二人の父からそれぞれ、とても沢山のものを遺してもらった。それらをこれからも大事に生きていきたい、と思う。
あーさん

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