みゆう

ウィ、シェフ!のみゆうのネタバレレビュー・内容・結末

ウィ、シェフ!(2022年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

めっちゃ良い映画!普通にフランスだし料理ものと思って観たら、良い意味で予想を裏切られた。

最近のフランス映画の傾向なのか、移民問題絡めてくるの多い印象。それだけ深刻なんだろうけど。この映画はさわかや。

有名レストランのスーシェフを務めてた主人公・カティが、勢いに任せてレストランを辞めて行き着いた先は、未成年の移民支援施設の料理人。不本意な仕事だけど、そこで出会った移民の子達や職員との交流で、自分にできることを見つける。

これ見て思うのは、フランスの移民の現実。主にアフリカ、周辺国家から単身で未成年が密入国してるということ。映画の途中で、彼らがどういう経緯でフランスに来たのか語るシーンがあるけど、本当に事情は様々。フランス国民にとっては、移民は犯罪率の増加に繋がるし、異文化に対する拒否反応もあるだろうからあまり歓迎されないだろうけど、移民達にとっても、家族のためだったり自分の命のためだったりで密入国しか残されてる道がなかったりで、どうすれば良いのか考えさせられる。

カティも序盤は移民の子達に対してあまり良い印象を持ってなかったし、国として移民を受け入れてても、実際のところ国民は受け入れていないのが多数なんだろうなと。施設のロレンゾやサビーヌみたいな人もいるだろうけど、サポート施設がある時点で少数派。移民による犯罪は、原因が主に貧困と差別で、そこを解決しないと移民とフランス国民の溝は埋まらないよな。これは今の日本にも近い未来、むしろもう当てはまることだよなと思った。

映画の内容はすごくさわやかだけど、移民の子達が置かれてる現実が具体的に描かれていて、めっちゃ考えさせられる。移民の子達は、18歳までに職を得るための教育機関に属せないと国へ強制送還される。施設の子達は大きい子が多くて、高校編入を断られた子は18歳まで残り4ヶ月しかなかったりと、現実の厳しさが描かれてる。

一番エグかったのは、身分証の年齢を疑われて、病院で骨密度を測って骨年齢で成人か判断するところ。骨年齢なんて幅があるし、実際は18歳まであと数ヶ月あるとしても、骨年齢じゃそんなの判別できないだろうから、成人判断された時点で強制送還になるのが当事者にとってはキツイことだろうなと。ジブリルが骨年齢で成人判定されたシーンはキツかった。強制送還される時の目がもうツライ。

最年少10歳のギュスギュスは可愛かった。フランス語を一生懸命学んで一番喋れるし。この子達にとっては、言葉を学ぶのは生きてくのに必須条件だから、学び方にも意欲があって、その姿は見習わないとなと思った。

ラストのカティが子供達のためにテレビ番組を利用したことと、その後の教室に向かう時の廊下の写真で泣く。

調べたら、カティには実在のモデルシェフがいて、出演してる子ども達は実際にオーディションで採用された移民ていうのを知って驚いた。説得力のある映画だった。

本当にこれは見てよかった。めっちゃ良い映画。今年のベストに入る
みゆう

みゆう