ノラネコの呑んで観るシネマ

インフィニティ・プールのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
4.3
とある国のリゾート。
インスピレーションを求めてやって来た、売れない作家のアレクサンダー・スカルスガルドが、轢き逃げ事件を起こし、死刑を宣告される。
ところがこの国では、外国人は金さえ払えばクローンを作って罪を逃れられる。
自分が殺されるシーンを見た主人公は、“インスピレーション”を得ちゃうんだな。
いい意味でエログロナンセンスで、ブランドン・クローネンバーグで一番好きかも。
クローンは、記憶も含めてオリジナルと全く同じ。
だから殺されるのは、どちらでも同じこと。
て言うか、交換されてもどちらにも分からない。
このスパイラルで進んで行くのかと思ったら、これはまだ最初のフックに過ぎず、主人公は決して抜けられない底なしの悪夢に沈んでゆく。
悪魔の様なファムファタールを怪演する、ミア・ゴスのビッチっぷりが最高。
劇中で怪物の様な気持ち悪いお面が出て来て、主人公たちが悪さする時に被ってるのだが、自分を殺した時点でもう人間やめてるのだよな。
観光客の傍若無人な振る舞いが発想のネタかしらん?
まさに究極の「旅の恥はかき捨て」映画だ。