みゅうちょび

インフィニティ・プールのみゅうちょびのレビュー・感想・評価

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
3.6
待ちに待ったブランドン・クローネンバーグ最新作!

悪趣味。大好きです! 

ブランドン・クローネンバーグの過去作品が好きなら、おそらく嫌いにはならないと思いますが、これまでの中で1番、撮影監督であるカリム・ハッサン色が強い作品です。

つまり、悪趣味です。

ただ、そんな中に、ミア・ゴスが輪をかけてレベルの高い悪趣味に、そしてアレクサンダー・スカルスガルドが品のいい悪趣味へと😂この映画を昇華させています。(ほんまかいなー?)

「あんたを叩き直してやるわ!」なんか叩き直された感じ分かります。

序盤、強烈なミアちゃんのしごきが入りまして💦、この時はちょっとぼかしに感謝しました。

ブランドン・クローネンバーグの作品では、人間の不謹慎さを深堀していく感じとかが好き。今作では、自分の罪を完璧な自分のクローンに償わせることが出来たら・・・という内容で、そこに国家の外貨獲得とかそれを利用する金持ちの悪趣味な遊びとかを絡めて、売れない作家で裕福な妻の恩恵を受けて自分が感じている自己嫌悪にも目を背けて生きているような主人公が盛大にそんな世界に巻き込まれるというもの。唸るほど金のある人間たちの止まらない不謹慎が炸裂しています。

インフィニティー・プールというのは、海とプールの境界が分からないように作られたプールのことで、主人公が自分は自分なのか?それともクローンなのか?というのが分からなくなる映画かと思いきや、どうやらそういうことではない気がしました。

むしろ、その境界があるのか?ということで、ひとたび自分のクローンを作ってしまったら、もはやその境界はなんなのだろう?ということかなと思います。もちろん境界なんてわからないわけだから、あれ?自分て自分なの?って不安になったとして、生きてるし・・・ってことで、そこに混乱を来すことはないと思うからです。

同じ遺伝子、同じ記憶すべてを持ち合わせている完璧なるもうひとりの自分。
しかし、自分は苦痛を逃れることができても、そのもう一人の自分が味わう苦痛が自分のものでないと言い切れるのか?

精神は?魂は繋がっていないのだろうか?
それは、もはや生きながらに死んでいるような自分のクローンがどうしたところでそこに意味があるのか?

もしや、そんな哲学的なことにもちょっと触れようとしているのがこの映画で、そこをきちんと掘り下げることができているかというと、??だけど、こういうテーマを取り上げるあたりが、ブランドン・クローネンバーグらしい。

かなりのエログロ、サイケデリック映像を見せられるのは、やっぱり撮影のカリム・ハッサンの趣味が全面に押し出されている気がして、不快感は強めになってさらに人には勧めにくい作品になっちゃったけれど、個人的には大変楽しめました。

ミア・ゴスの貢献度はめっちゃ高いけど、この役引き受けたアレクサンダー・スカルスガルドってほんと変態…じゃなくて素敵って思っちゃう。
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