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インフィニティ・プールのsinginggizmoのレビュー・感想・評価

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
3.8
スランプ中の作家ジェームズ(お金持ちの奥さんのほぼヒモ状態)の空っぽなキャラクターを、アレクサンダー・スカルスガルドが見事に演じていておもしろい。
見た目が圧倒的高身長イケメンであることが、おもしろさを際立たせる。

ノースマンでは、鉄の意志を持つ最強のゴリゴリ復讐者だったのに、今回は意志がなく周りにすぐ流される薄っぺらいダメ男に…全然強そうに見えないし、ダサさが滲みでていてさすがだな…と思った。
「ゴミ捨て場のカニみたいな目」と奥さんから言われてたけど、どういう目?
いわゆる死んだ魚の目…のようなものと思われるが、比喩が斬新で高度すぎる(笑)

そして、からっぽジェームズを罠に嵌めていくセレブ集団のボス、ガビを演じるミア・ゴスの狂気的な演技が圧巻。
イノセントなお顔立ちとかわいい声だから、余計に恐ろしい。

舞台は、罪を犯してもお金さえ払えば、自分のクローンが代わりに処刑を受けてくれるというルールが存在する高級リゾート地。
そのシステムでタガが外れたセレブ達が、集団で罪を犯しクローンの処刑観覧までセットで、もはや遊びとして楽しんでいる描写が胸糞である。
おもちゃとしてターゲットにされてしまったジェームズが哀れで可哀想ったらないが、ちょっと味を占めて自ら島に残ってしまったから自業自得でもある。
うだつの上がらない日常から逃げたかったんだろう。
バスで島から出るときには、何事もなかったかのように日常に戻るセレブ達に、「ぽかーん…」なスカルスガルド。

罪と処刑を繰り返し、もはやどれが本当の自分なのかクローンなのか…たぶん本人もわからないし、観ているこちらもわからなくなっている。

島に取り残された個体はどれなんだろう?
脱力し虚無な表情のイケメンが雨ざらしになっているという、なんか衝撃のラストだった。
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