海外に旅行に行って文字通り羽目を外す富裕な観光客たちの精神の退廃を違う視点から描いたら、こういう映画になるのかもしれない。
外国に行って世界観の違う文化や人間と接して新しい自分を発見する、それがバカンスの素晴らしさだというのは観光客の自分勝手なご都合主義でしかなく、現実は外国の富裕層の人間による他国への小規模の侵略行為なのだという視点。
富裕層の外国人たちは観光と称して自国では許されない行為を他国で行い、時が来れば紳士淑女として自分の国に帰っていく。
美しい思い出に強引に書き換えられた他国での醜悪な悪ふざけ、地元の人たちには彼らが文字通り悪魔の皮を被った人間に見えていたと思う。
そしてリゾート地での彼らの悪趣味な振る舞いや、反道徳な行為の記憶は消えずにリゾート地で生活している地元の人間たちの意識に残り続ける。それがあのクローン人間の死刑の意味のような気がする。
あの金持ちの外国人たちは、バカンスの間の自分たちは本当の自分ではないと思っている、だけどあれが彼らの本性で、本国に帰って行ったあの人たちは本性を偽って仮面を被ったクローンのようなものだと監督は言いたいのだと思う。
主人公の男性だけは最後にそのことに気が付く、ある意味主人公は最後に彼らに勝ったのかもしれない。