こころとからだ

極道統一のこころとからだのレビュー・感想・評価

極道統一(2022年製作の映画)
3.2
「極道統一」というバカみたいに時代遅れな邦題は非常にチープで、残念ながらこの物語を正確に表せられていない。原題通り「边缘行者」「マンオンザエッヂ」としないと、中身への期待すら変わってしまう。

ギリギリを渡り歩くアンダーカバーもので、よくある「インファナルアフェア」を模したものだ。日本に入ってくる香港映画は、ずっと「インファナルアフェア」の呪いにかかってしまっている。

どうやってもあの作品を超えられないし、技術力が向上しようとあのときほどの衝撃は与えられない。むしろ、警察が黒社会に潜入するというアンダーカバーものを新作としてつくるのは禁断の果実とし、封じるべきではないか。

この作品も、皆が想像するとおり、モドキである。明確な物語の芯がなく、ただ何となく場当たり的に進行しているように感じた。そのため、これからやることが分からないので、予想ができず、まったくドキドキしない。

何がしたいのか、よく分からないまま終わり、特にカタルシスも得られなかった。ただ、香港の黒社会作品からしか得られない魅力があることは確かである。こういったオールドスクールな香港映画が今もなおつくられていることはうれしい限りだ。

最近の香港は中国本土に侵食されつつあり、映画でも残念ながら広東語ではなく北京語が増えてきているが、この作品は北京語はなく、オール広東語だったのもうれしいポイント。

ラム兄貴は竹野内豊、ロクは岸谷五朗、もしくは橋下徹さんに似ている。