豚肉丸

新生ロシア1991の豚肉丸のレビュー・感想・評価

新生ロシア1991(2015年製作の映画)
4.3
ペレストロイカに反対したソ連共産党の保守派がゴルバチョフを軟禁しクーデターを起こす。最初は困惑していた民衆だったが、次第に共産党への反発が強くなり...というお話

最近世界史で習ったソ連崩壊までの流れを生の映像で見られただけでも感動。ドキュメンタリーでしか映すことの出来ない民衆の熱量が宿っていた。
「ゴルバチョフが死んだらしい」「行方不明らしい」と数多くの噂が飛び交い混乱に満ち溢れた広場。そこに流れる声は困惑から共産党への反発に移り変わり、「ファシズムの時代に戻らせるな」「スターリンは人殺しだ」「共産党を倒せ」という方向に纏まっていく。翌日には広場で打倒共産党の集会が開かれ、密集した人々の姿が映される。
ソ連の終わりとロシアの始まりを捉えた映像だけでも十分素晴らしいのだが、それらの映像を綺麗に流れを汲み取り70分に纏めた編集もまた素晴らしい。基本的に映される場所が広場から変わらないことが表すように、本作は民衆に着目してアーカイブ映像を繋ぎ合わせているような感じがした。特に中盤からの集会の映像は凄まじく、追悼の意を込めて手を挙げる映像の力強さ!

『ナワリヌイ』でも似たように怒れる民衆の抗議集会の映像が多く含まれていたことを思い出した。この先ロシアがどうなるか分からないけれど、多分数十年後には本作と同じようにロシア内部を捉えたアーカイブ映像で歴史が描かれるんだろうな、と思った。
豚肉丸

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