ワンワンワン111

丘の上の本屋さんのワンワンワン111のレビュー・感想・評価

丘の上の本屋さん(2021年製作の映画)
4.7
犬とボール遊びするように、本屋の店主と少年が本遊びを繰り返す。

本屋の店主が選んだ本を少年に貸し、少年が本を読み終えたら本屋に帰ってきて本の感想を伝える。そして、本屋の店主が感想を聞いて、さらに本の考察を深める問いをする。少年にちょっと難易度が高まる本を貸す。これを繰り返す日々。

大人の役割はこういう単純明快なことなのだろう。図書館にも書店にもネット上にもたくさんの書物があるけど、ただ本がそこに存在するだけ。学校の国語の授業で名作に触れても試験のための読み物になっている。少なくとも私はそうだったことを思いだした。学生時代の感性が鋭い貴重な時間を無駄にしてしまった。

私が気づいていないだけで、本の素晴らしさを教えようとしてくれた人がいたかもしれないな。ただ私が名作を与えられても、読まないどころか、帰ってもこないという馬鹿野郎だった。学生時代に名作の素晴らしさに気づける人が羨ましい。

もう一度、学生時代に戻れるなら文芸部に入部したい。