ユーライ

ベイビーわるきゅーれ 2ベイビーのユーライのレビュー・感想・評価

2.7
前作未見。殺したのは良かったよ。『リコリコ』で一番不満だったのは、双方痛み分け苦い現実を受け入れていきましょうねチャンチャンだったから。そんなんどうでもいいから殺せよと。あのまま感傷で流されていたら本当に駄目だった。このシリーズ及び阪元裕吾監督とはいつか相対しなければならないと覚悟していたが、普通に合わなくて何だか安心した。グロは嬉々としてやる癖に、エロは徹底して排除していく姿勢に違和感がある。アクション中に脚部をアップで撮るみたいな気色悪い真似をしないのは全くもって結構なことだが、まず、オンナに飢えてるだろう野郎二人が「友達になれたかも」なんて不自然じゃないか?写真を見て一言、「マブいスケ(死語)やんけ」くらい言ってもいい。Vシネならそうしてます。不快な振る舞いをするであろうキャラクターを現代風に消臭してニューシネマでございは通らない。観客に親切過ぎる。何の配慮なんだ。クライマックスにて男と女同士が壁を隔ててイチャイチャをカットバック、お前ら百合と薔薇両手に抱えて満足かと言わんばかりで非常に品がないのはもちろん、関係性に踏み込まず中途半端に誤魔化すのは一種の逃げなんじゃないかと思う。昨今のジェンダー観を隠れ蓑にした言い訳に過ぎない。主演二人の駄弁りは長回しで延々やるほど言っちゃ悪いが魅力的に映らず、さっさと切れよとしか思えない。もっとタイトに70分台まで切り詰めれば、プロピクとしても締まったはず。逆にある程度作りこんだ兄弟のやり取りの方が「リアル」になる逆転現象。タイマンになると兄貴が急に凄腕になるのも含めて、演者を扱いきれていない印象。そして、致命的にギャグが面白くない。実に苦痛だった。福田雄一的などっちらけ。「生きづらさ」を殺し屋稼業に仮託して、人生の悲喜こもごもを綴るやり方自体はもっと可能性があるはず。それなら、私は三池がいつか撮る障害者を主役に起用した殺し屋映画を待つよ。
ユーライ

ユーライ