ベール

ザ・キラーのベールのレビュー・感想・評価

ザ・キラー(2023年製作の映画)
4.2
面白かった。前情報なしでタイトルとフライヤーの感じからノワールものだろうくらいにしか思ってなかった。表面的にはジャンル映画なんだけど、それを期待して見に行くと「なんだこれ?」となると思う。

印象としては初期オースターみたいな感じ。ポストモダン。ただ、ニューヨーク三部作が書かれたのは40年以上前と比べると、実存への不安みたいな感覚はより強く描ける時代に思える。即物的で流動的。よすがとしての恋人の存在感も、蜘蛛の糸のように朧げ。復讐のドラマなのに、動機は怒りというよりSEが書いたコードに従ってるようだった。だからこそ時折り漏れ出る感情の揺れに今の時代が感じられた。
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