主演のマリオン・バルボーはオペラ座の現役バレリーナらしく、バレエやコンテンポラリーダンスの躍動感は見ていて楽しかった。役者が役作りで踊るのとはモノが違う。『猫が行方不明』のクロエみたいな雰囲気があって、終盤の駆け出すところでポーティスヘッドが流れそうな気になった。
ただ、ドラマとしてどこに焦点が当たっているのかよく分からなかった。仕事、恋愛、家族の内、どれがメインプロットでどれがサブプロットか曖昧に思えて。クラピッシュといえば、主人公の人生を通して当時のパリやEUなんかの社会情勢を見せるイメージなんだけど、そういったものも感じられなかった。
個人的には、合唱に合わせてふざける料理人に共感しかなかった。気持ちがわかりすぎる。